愛天使伝説ウェディングピーチ 第23話「初キスが奪われる!」

これは良いテコ入れ回。

「人間界の調査」という目的で、今回から登場した悪魔イグニスが海野たくろうの身体を乗っ取り、海野たくろうと言わば共犯関係を結び、愛天使たちと対峙していくという展開になるようだが、これがなかなか面白そうだ。これまでは良くも悪くも、人間界+天使界勢力(愛天使側)と悪魔界勢力の1対1の対決という分かりやすい構図となっており、そのため、ともすれば単なる1対1の対決⇒安易な勧善懲悪の展開に流れてしまったことも少なからずあったように思う。

このタイミングで、人間界の中で悪魔界の側につく人物が現れたことで、これまでよりは複雑で、深みのある物語展開がされるのではないか、と期待してしまう。もっとぶっちゃけて言ってしまうと、雨野たくろうという負の属性が強いキャラが入ったことにより、私的な好みに近い「濃ゆい展開」になるのではないかと期待してしまうのだ。

悪魔イグニスが、たくろうが内面に抱える強いルサンチマンやコンプレックスのおかげでたくろうの身体の中を「心地よい場所」として表現したり、もも子をストーキングして、あげくの果てには強引にキスを迫ろうとしたり、早くも雨野たくろうの青春の蹉跌では済まされない「痛い」本領・本性が現れだしてきており、なかなかにいい感じだ。このままイグニスの力によってもっとたくろうの中に抱えたルサンチマンを爆発させて、たくろうが愛天使たちも手に負えないよう狡猾で非道な作戦をどんどんと展開して欲しいものだ。(個人的には、レインボーマンの「死ね死ね団」レベルでの狂い方と突破力を期待したいところだ)

また、この回で雨野たくろうはもも子に(それこそストーキングしてキスを迫ってくるくらいに)惚れてしまうのだが、その一方で雨野たくろうとひなぎくが昔からの幼馴染だったという関係性も面白い。三角関係/四角関係に発展することの前振りだろうか? 

これまでは見事なくらい作品中に背反する要素が見当たらなかったウエピーだが、雨野ようすけという背反性を一手に引き受けてくれるキャラの登場で、突如として物語らしく盛り上がりが期待できるようになってきた。(たくろうは「人間」でありながら「悪魔」イグニスを身体に住まわせ、共犯関係にあるところから、相反性を常に抱えた立場にあると言える)