愛の戦士レインボーマン 第45話「ドクター・ボーグの執念」

ドクター・ボーグが発明した、「人間をサイボーグ化する注射」という設定が非常に面白い。注射を打つと、その人間は顔が青くなり、金属片のようなものが顔から吹き出してくる描写がなされる。身体の内側から徐々に機械化されてくる、というイメージなのだろう。

このような「有機体の人間が機械に融合される/変質していく」というイメージは、当時としては非常に斬新だったと思われる。このイメージは、まさに映画「鉄男」そのもののイメージであり、サイバーパンクと呼ばれるジャンルに該当するものである。だが、本話放映時に勿論「鉄男」はまだ制作されてもいないし、サイバーパンクという言葉すらなかった。

結局、「人間をサイボーグ化させる注射」は完成することはなく、ドクターボーグは無念のまま今話で死亡してしまうのだが、少なくとも試作品はミスターKの手の元に渡っており、次回は「人間サイボーグ化」の話になるのだろうか。早すぎたサイバーパンクの萌芽が、まさか日本の特撮で(しかも「レインボーマン」で)観られるとは思わなかったな。

今回は、久し振りの基地外回というか、かなり濃ゆい描写が多く、堪能できた。レインボーマンが、死ね死ね団アジトを探るために、山々にイカヅチを落としまくる場面など、「お前、本当に正義の味方か?」という無茶っぷりで、ハラハラさせられた。また、女幹部キャシーの両目に刃をブッスリ突き刺すようなエグい場面が描かれたり、ドクター・ボーグが自分の妻を殺害されたことの腹いせに日本軍軍医を殺害した陰鬱な過去が描かれたりと、これまでにも増してトラウマ描写が多く、闇話が好きな私としては非常にご馳走な回でもあった。

「悩めるサル」といった顔つきのドクター・ボーグ(長沢大)の顔つきも味わいがあり、ここで退場というのは非常に残念であったなぁ。