愛の戦士レインボーマン 第46話「サイボーグ奴隷部隊」

うーん、45話があまりに良かったために期待しすぎてしまったのだろうか? 今話では確かに、死ね死ね団は体力がありそうな一般市民や刑務所に捕まっている罪人を選んで、ドクター・ボーグが作った薬を打ち、「サイボーグ化」させることで、「超人間的な力を有した操り人間」を作り出すことに成功している。サイボーグ化された元人間たちは、死ね死ね団の実行部隊として彼らの意のままに操られ、そしてその後に死んでしまう、という「使い捨てのコマ」とされるのだ。

という展開は、特撮ものとしてはなかなかにショッキングな展開ではあるのだけれど、第1シリーズのキャッツアイ作戦の焼き直しだし、それに第1シリーズの方が遥かにインパクトがあったからなぁ。「サイボーグ化」された人間も、目の周りに墨を塗っただけで、サイバーパンク感ゼロだったし。(前話では確かに、サイボーグ化された人間はちょっとサイバーパンクっぽいメイクがされていたのになぁ?)

むしろ、途中で強引に割り込んでくるゴッドイグアナとの戦いの方が、面白かったな。唐突に、画面中央から墨が広がっていき全体の画面を覆い、ゴッドイグアナのいる別次元の魔女世界にレインボーマンが拉致されていく、という演出も強引で面白かった。また、いつもは割とヤッツケなセットの魔女世界だが、今回は赤や青の混じった空の上に黒や白のねっとりとした煙がとぐろをまく空や、枯れ木がポツポツと生え他には何もない闇の空間―という雰囲気のあるセットが構築されていて、見応えがあったな。

愛の戦士レインボーマン 第45話「ドクター・ボーグの執念」

ドクター・ボーグが発明した、「人間をサイボーグ化する注射」という設定が非常に面白い。注射を打つと、その人間は顔が青くなり、金属片のようなものが顔から吹き出してくる描写がなされる。身体の内側から徐々に機械化されてくる、というイメージなのだろう。

このような「有機体の人間が機械に融合される/変質していく」というイメージは、当時としては非常に斬新だったと思われる。このイメージは、まさに映画「鉄男」そのもののイメージであり、サイバーパンクと呼ばれるジャンルに該当するものである。だが、本話放映時に勿論「鉄男」はまだ制作されてもいないし、サイバーパンクという言葉すらなかった。

結局、「人間をサイボーグ化させる注射」は完成することはなく、ドクターボーグは無念のまま今話で死亡してしまうのだが、少なくとも試作品はミスターKの手の元に渡っており、次回は「人間サイボーグ化」の話になるのだろうか。早すぎたサイバーパンクの萌芽が、まさか日本の特撮で(しかも「レインボーマン」で)観られるとは思わなかったな。

今回は、久し振りの基地外回というか、かなり濃ゆい描写が多く、堪能できた。レインボーマンが、死ね死ね団アジトを探るために、山々にイカヅチを落としまくる場面など、「お前、本当に正義の味方か?」という無茶っぷりで、ハラハラさせられた。また、女幹部キャシーの両目に刃をブッスリ突き刺すようなエグい場面が描かれたり、ドクター・ボーグが自分の妻を殺害されたことの腹いせに日本軍軍医を殺害した陰鬱な過去が描かれたりと、これまでにも増してトラウマ描写が多く、闇話が好きな私としては非常にご馳走な回でもあった。

「悩めるサル」といった顔つきのドクター・ボーグ(長沢大)の顔つきも味わいがあり、ここで退場というのは非常に残念であったなぁ。

愛の戦士レインボーマン 第44話「レインボー合体の術」

物語の終盤にさしかかったこのタイミングでの、まさかの新必殺技「レインボー・クロス」を修得する回。

レインボーマンの7つの化身の技を同時に使える大技」→つまり、ダッシュ2+ダッシュ5が同時に使えるようになる技となる。その際の、レインボーマンの変身形態は一体どんなだろうと楽しみにしていたのだが、『基本はダッシュ1の形態+頭の文様が「2つの化身」を表す』という程度のものだったので、ちょっと拍子抜けしてしまう。(今回で言えばダッシュ2+ダッシュ5なので、火のマークの赤と、黄金のマークの金が、額の飾りの右半分/左半分に色どられていた。中央部分はグレー地に、赤く縁どられた金の丸が中央に位置するデザインとなっていた)「女神転生」ばりの融合を期待していたのだが、それは期待する方がどうかしているというヤツだな。

愛の戦士レインボーマン 第43話「追跡1000キロ!」

冒頭、新婚夫婦が歌うフォークソングがエラくいい曲だったので、思わずググって調べてしまった。

http://www.youtube.com/watch?v=C-vrytrimVs

ノイズ・ハミングというグループによる「青い世界」という曲だそうだ。うーん、ハワイアン。

また、このすぐ後でタケシ&新婚夫婦がステージでバンブーダンスを観ている場面に繋がっている。ここで流れる曲が、また「青い世界」と似たメロディなんだ。まー、バンブーダンスはフィリピン発祥であって、ハワイとは関係がないのだけれど、、、

その後、新婚夫婦に促されるままに、タケシがステージに上がってきて、例の「ヤマトタケシの歌」を歌う。タケシ本人が歌うの、これで2回目だよ!(しかも、今回はオンステージ!)滑舌が良すぎて、逆にヘンな歌声も含めて、香ばしくていい感じだった(苦笑)。

前話に続き、今話でも当時の文化流行がちょこちょこ画面中に出てきて、興味をそそられたな。タケシが着ている、インディアン風の服も面白かった。(宇宙刑事ギャバンの人が来てそうな服。あっちは皮製のしっかりしたジャケットだけど、タケシのはもっとペラペラしてて、薄い革製のシャツのような感じ)また、ダイアナやロリータが着ている、銀ピカの服も面白かった。ダイアナの服が、ちょっとスター・ウォーズのレイラ姫っぽい格好なのだけれど、「スター・ウォーズ」が77年公開だから、それより前の話だ。彼女らの銀ピカ服は、何らかの映画か何かをリファレンスとしたデザインだとは思うのだが、いったい何なのだろう? このあたり、もう少し調べてみると面白そうだ。

http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/s/?@0_mall/twopiece/cabinet/swminibust-leia.jpg

ミスターKが冒頭で「美しいな、日本という国は。この国が我が組織のものとなる。その日も遠くはない」と感慨深げに話す場面があるが、ミスターK及び死ね死ね団は、日本への憎悪から、純粋に日本を破壊したいことが目的ではなかったのだろうか?一体いつから「日本を奪って、自分たちの統治下に置く」という目的に変わったのだろうか?(今シリーズからか?)あまりに死ね死ね団の目的が陰鬱&政治的色彩が強かったために、今シリーズで方向転換を図ろうとしているのかもしれないな。

後、中盤に入った、お爺さんとの木刀での稽古場面が、本気の殺陣となっていて、特撮以外においては、これまで本作品で観てきたアクションの中で最も格好良い場面となっていた。

愛の戦士レインボーマン 第42話「追跡1000キロ!」

レインボーマン死ね死ね団との、川崎ターミナルから九州までの船旅+陸路の追っ掛けあいが描かれる。所謂、「繋ぎ」の回だが、レインボーマンに「右手を負傷させて術を使えない状態にある」ことや、「サイボーグ化した女幹部を目撃した新婚の男女を匿う」こと等、いくつかの縛りを与えることで、ガチのバトルには移行させず、「追っ掛けあい劇」に専念させているところが、良かったな。

後は、ヒッピー風の若者たちがフォークギターを持って輪になって歌ったりするところなどは、いかにも当時の若者文化らしく、面白かったな。歌っているのは反戦フォークとかではなく、何故か「海(海は広いな大きいな)」なんだけれど(笑)。

あー、後、ドクターボーグが被っているかつらが、髭男爵のひぐち君もかくやという程の髪のはねっかえり方が気になってしょうがなかったなぁ。

愛の戦士レインボーマン 第41話「サイボーグ1号との戦い」

サイボーグ1号&ゴッドイグアナが代わりばんこにレインボーマンを襲ってくる回。(連携を取る気はさらさらなし)なんか、もうフツーの特撮戦隊ものみたいになっているな。

ゴッドイグアナ役は、「特撮俳優界の女王」と呼ばれているらしい曽我町子。けれん味のある演技で悪くはないけれど、イグアナ役の塩沢ときインパクトがあまりに強すぎるため、それと比べるとどうしても見劣りしてしまうなぁ。

後は、女幹部がタケシの前でバイクのエンジンをかけて走っていくと、タケシの前にメッセージ(「妹を助けたくば、戦場河原まで来い」)が現れるのだが、いったいどういう仕組みでメッセージが現れたのか謎過ぎるな。(責めて、手紙を置いていくとかにすればいいのに)

細かいところだと、タケシが石化する時の白化粧がやたら薄かったりと、全体的に雑な作りが目立っていたな。うーん、41話まで来て、ついにエンジン切れか?

あー、後、冒頭の空中に無数の鳥が飛んできて、その鳥がキャシーやレインボーマンを襲うところは、一応はアルフレッド・ヒッチコック「鳥」をリファレンスとしているのだろうな。

愛の戦士レインボーマン 第40話「ダイアモンド略奪作戦」

サイボーグ軍団編の始まり。

モグラート編にて死ね死ね団は「東京壊滅」という大規模テロを仕掛けておきながら、次のシリーズではいきなり「ダイヤ強盗」というチンケな泥棒作戦を展開するところが、なんとも哀しい。「ダイヤ強盗作戦」とか、「女幹部をサイボーグ化させて、レインボーマンとバトルさせる」とか、やっていることはまるでフツーの特撮物の悪の一味のようだ。まぁ、前シリーズで凝ったことをやろうとして失敗したのに懲りて、今シリーズでは普通の特撮アクションを狙ったということかもしれない。

それにしても、冒頭のミスターKの強がり「レインボーマンのおかげで、この部屋(敵の本拠地ビル)も助かった。気に入っていたからな」が哀しすぎる。っつうか、東京壊滅作戦の際に、自分達は逃げ出すことは考えていなかったというのだろうか?改めて、前シリーズは雑な作りだったのだなぁと実感してしまう。

あー、後、どうでもいいことだけど、サイボーグ化されたキャシーが指をパッチンパッチン鳴らしながらレインボーマンに近づいてくるところは、ちょっとポール牧を思い起こさせられてしまって笑ってしまったよ。