愛天使伝説ウェディングピーチ 第20話「真夏の夜の神秘」

クラウド登板回。と思ったら、あっという間にやられて出番消滅回。

と同時に愛天使たちがサムシング・ボローをGETする回+愛のメモリアルキャンドル〜セント・トルナード・ドリーミング〜お披露目回でもあった。

と、前回、前々回と同様の流れで進んではいるが、今回の話は良かった! 今回のゲストキャラさおりがクラウドに襲われたところをひなぎくが助けようとするが、力及ばず逆にやられそうになってしまう。すんでのところでももことゆりが加勢に加わったおかげで事なきを済んだが、自分の力が及ばずに好きな人を守れなかった悔しさと悲しさで、ひなぎくは落ち込んでしまう。

ここまでならば、バトル少女ものとしてはよくある展開の1つに入れていいかもしれない。だが、落ち込んでいるひなぎくに気を遣って、さおりがある長尺のセリフをひなぎくにかけるシーンがある。このセリフが、実に素晴らしいのだ。ちょっと長いけれど、以下に引用した。

「自分じゃ完璧につっぱっているつもりなのに、仲の良い人にはバレちゃってる。バレてないと思っているのは、本人だけ。何悩んでいるか知らないし、無理に聞こうとは思わないけどさ、でも、これだけは覚えておきなよ。あんたのこと、本当に思ってくれている人には、あんたがどんなにつっぱって、自分の悩みを見せまいと頑張っても、でも見破られている。ちゃあんと分かってくれている。だから、まずそういう人を大切にすることだって!ちゃあんと愛することだって!そうじゃないとさ、せっかくの愛情が分散して、弱くなっちゃうだろ」

実はセリフでテーマを語らせるというのは非常に危険を伴う。単に説教くさいだけになってしまったり、またいくらいい事を言っていても物語の内実に沿わない薄っぺらい言葉として聞こえてしまうこともあるからだ。

実はさおりの上記のセリフはひなぎくが抱えている悩みからはちょっとピントが外れているところもある。それもそのはずで、さおりはあくまで「愛天使」との戦いからは基本的に部外者であり、ひなぎくの事情など知る由もないからだ。と同時に、さおりが上記に述べているセリフは、まさに「ウエピー」のテーマと重なる部分が多く、ひなぎくの心にも(また観客の心にも)すっと入ってきてジーンとさせるような感動的なセリフとなっている。このセリフは「部外者」からの「大人の視点」を持ったセリフであり、だからこそ、これまでの物語の流れとは異なる新鮮な気持ちで聴くことができるのだ。

この繊細なセリフ運びは、多感な少年少女の心の動きを描かせたらピカ一の寺田憲二脚本の力に拠るところが大きいであろう。段取りの流れで作ってあっても面白い回はできるのだなぁと意識を改めたよ。また、このところ低調な回が続いていたが、ここにきて素晴らしい回が入ってきたことも良かったと思う。これに力を得て、次回以降は盛り返してきて欲しいところだが、どうだろうか。