青い文学シリーズ 人間失格 第3話「世間」

第3話まできて、だいぶ良くなってきた。
1話・2話を経て、葉蔵が苦悩する背景が出てきて、だいぶ理解しやすくなってきた。第3話では、過去に心中に失敗してしまい1人の女性を殺害してしまったという罪悪感と、自分と世間とがなかなか馴染めない違和感と、その苦悩から逃げ出すために酒と女という自堕落な生活に溺れていく葉蔵の姿が描かれていく。
(逆に言えば、第1話で葉蔵が何をあれだけ苦悩していたかは、謎のままとして残るのだが。勿論、幼少期に乳母に性的悪戯をされただの、幼少の頃から世間と真っ向から対立するのが怖くって常に道化を演じてきただのといった一応の説明はされてはいるのだが、それだけで1人の女性と心中まで犯してしまう流れがいまひとつピンと来ない)

物語終盤で、葉蔵は酔っ払って雪の上に仰向けに寝そべりながら、たまたま通りかかった煙草屋の娘美子に、自分の苦悩を打ち明ける。
「世間はみな、俺が女を殺したって言ってる」
その告白に対して、美子は無邪気に返す。
「世間って? 世間なんて、1人1人の集まりじゃないですか。そういう話、信じない人間もここにいます」
このセリフで、これまで観てきてずうっと陰々鬱々であったムードが少しだけ高揚する。これで、主人公は少しは良い方向に向かうのか!と期待したのも束の間、これまで面倒を見てもらった志津子や、「私の女神」とまで呼んだ愛する少女茂子の元を離れ、マダムの元に転がり込み、挙句に「どうして女の人は、俺に優しくしてくれるんだろう?」という舐めたセリフを吐くのって、どうよ?

今回は、いかにも厭世的で、虚ろになった葉蔵の表情が頻繁に登場してきていたが、なかなかに気味が悪くてグッドであった。

で、次で「人間失格」の最終話となるのかぁ。どういう風にまとめるんだろ?

追記:茂子役、やけに可愛らしい声だなぁと思っていたら、「MEZZO-メゾ-」の鈴木海空来役のこたにともこだった。せっかくのいい声なのだから、もっと活躍して欲しい。

青い文学シリーズ 人間失格 第2巻 [DVD]

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