蒼い海のトリスティア 第2話「トリスティア ゴーレム大会(後編)」

前回では割とあっさりとバトルが終わってしまった印象があったが、今回は割としっかりと「スーバーロボット対決」が観られる構成になっていたなぁ。しかし一見魔法少女ものっぽいパッケージなのに、本作を観てみると「スーパーロボットもの」以外の何者でもないな。

しかし、せっかくの「スーパーロボット対決」なのに作画が不調な部分が目立ったりと、いまひとつ垢抜けない印象だったなぁ。

世界観が緩いのは、緩いゲームの世界観がベースとなっているために仕方がない部分は大きいとは分かっているものの、「スーパーロボット対決」が行われるための最低限の舞台装置さえできていないため、観客はただただ白けて観ている他ない作りになっている。
たとえば、敵側のロボットフッケバインがちょっと暴走しただけで、ロボットは簡単にコロッシアを半壊させ、あまつさえ街中まで出て、街を破壊させてしまう。「町おこしイベント」を実施するにあたっての最低限のセキュリティが一切なされているようには見えず、その結果として物語的には「緊急事態」が発生していながらも、その緊張感が一切伝わってこない。
街中でのバトルの描き方も粗雑だ。テンザンもナノカ・フランカも、バトル中、平気で街の建物を壊し、気を使っている素振りさえ見せない。町中の全ての人間がコロッシアムに集まる訳はなく、すなわち、建物の中に人がいて、死んでしまう可能性だって大いにあるというのにだ。最後に、ナノカ・フランカがフッケバインの頭に飛び乗って持っている杖で頭を叩くと、頭部ユニットが外れ、敵の動きが止まるという形で、最終的な決着がつけられる。「そういう仕様だから/設定だから」と言われてしまうと、「はぁそうですか」と返答する他ないが、その程度で済むのならばあそこまで重装火器を準備せずとも、もっと他にやりようがあったのでは?と言いたくなってしまう。少なくとも、最終的決着としてはあまりに説得力のない選択肢だったように思える。

バナビア先輩も、意図的ではないとは言え、街中をさんざん破壊させたのだからそれなりの沙汰はあって然るべきだが、その点についても一切の考慮がなかったのはいただけなかった。「犯罪者」として扱われても文句の言えない人間を、普通にみんなで集まって港でお見送りするというのは(しかも、街を壊した「凶器」までお土産に渡して)、あまりに呑気過ぎるのではなかろうか。
たとえ、そのユルさがゲームの世界観であったとしても、いくら何でも限度というものがあるだろう。少なくとも、バナビア先輩の扱いなど、何らかの理由で「今回はお咎めなしで済んだ」とかの説明や理由付けさえつけようとしないのは、あまりにも手落ちというものだろう。

手落ちと言えば、せっかくの冒頭の温泉シーンなのに、湯気で画面3分の2が見えなくなってしまっているのはどういうことだろう?これはTVシリーズではなくてOVAですよ?こーゆーところで挽回しなくて、どうする?(怒)

[総評]

前半は駆け足でほとんど内容がなく、後半はヌルい世界観の上でとりあえずスーパーロボットものをやってみました、というだけの、終始冴えない内容だったな。
ゲームの緩い世界観と、スーパーロボットものという食い合わせ自体が良くなかったのかもしれない。(リアルロボットものと比べればスーパーロボットものは遥かにユルい世界観でもオッケーなジャンルではあるものの、本作品の世界観はその許容範囲を大きく超過するユルさだった)

映像特典(住めば都のトリスティア♪)の、ラジオ番組の中で視聴者からの質問に回答を行っていくという形式を模したコントにて、続編(第3話)の可能性が示唆されていたが、原作ゲームの知名度から言っても、本作品のクオリティから言っても、その可能性はゼロに近い低さだろうな。