愛天使伝説ウェディングピーチDX 第2話「サルビアの恋 〜豪華客船でも戦うわ〜」

OVAシリーズの第2話目。

敵役に堕天使クラーク・オアシスが登場。一見して分かるとおり、「風と共に去りぬ」のクラーク・ゲーブル演ずるレット・バトラーがモデルである。オアシスに恋に落ちるスカーレット小原自体のモデルが、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラであることから、今回は「なんちゃって風と共に去りぬ」回と言えるだろう。(とは言え、2人のキャラと関係性以外は原作と重なるところは全くないが)

オアシスが大財閥の若きトップであるという設定を踏まえたシチュエーションが、いちいちアホらしい程におかし過ぎる。乗馬クラブの敷地にテロリストの一団が銃砲でオアシスの命を奪おうとするところをスカーレットに救われる、という場面があるが、これも何から何までおかしく、どこからツッコンでいいか分からない程だ。あれ程分かりやすい武装をした者が、日本国内で集団で動けば目立ち過ぎて、捕まえてくれと言ってるようなものではないか? また、大財閥のトップが日常的に命を狙われる状況で、どうしてSPが付いていない? そもそも、オアシスがテロ軍団に命を狙われている理由が一切判然としない。(テロ軍団が政府要人ではなく、財閥トップの命を狙う話など、聴いたことがない)
乗馬クラブ敷地に乗り込むことも現実的には不可能なのだが、後半に入りテロリスト達がプライベートな客船に乗り込んでオアシスの命を狙おうとする場面がある。どこまで警備ユルユルなんだ!で、そもそもテロリストの一団はどこに隠れてたんだ!ここまでいい加減だと、もはやギャグとしか考えられない。

また、オアシスとスカーレットとのデートの待ち合わせ場面で、スカーレットが公園噴水前で待っているところにオアシスがヘリコプターに乗って駆けつけるという場面があるが、この描写自体があり得ない。民間のヘリコプターは運用が厳しく管理されており、政府から許可を得たヘリポートでしか離着陸ができないことになっているからだ。そもそも、デートにヘリコプターで駆けつける描写って、ギャグ描写にしか見えず、ロマンチック要素はゼロなのだが。

堕天使オアシスが闇の力に呑み込まれてしまって悪魔と化してしまったところ、愛天使たちはオアシスを浄化するが、それでもオアシスは人間にも天使にも戻れずに悪魔に心を呑まれて暴走してしまうところは、TVシリーズでは見られなかった新機軸と言えるだろう。スカーレットが涙ながらに、悪魔と化したオアシスを「浄化」ではなく、「切り倒す」ところまで踏み込んで描いたのは、「悲恋もの」としてきちんと成立できており、本作品としてはかなり冒険的なことにトライしていると評価もできるだろう。だがしかし、そもそもオアシスの描写が薄っぺらく、ツッコミどころがあり過ぎる。これでは感情移入のしようがない。

これまでは「学園で起こった出来事や人間関係」を踏まえて物語を展開してきており、さほど大きな破綻もなく、ツッコミどころも無視できるレベルであったが、ちょっと「大人」を入れると一気に物語や設定がガタガタになるなぁ。まぁこのあたりが、「ウェディングピーチ」という作品の限界なのだろうなぁ。
後、少なくとも20代後半、下手したら30過ぎのオッサンが中学女子に手をつけようとするのは、一般的にはどう見たって犯罪だろ、という気が。