藍より青し〜縁〜 第9話 白妙〜しろたえ〜

薫と葵の2人っきりのデート@横浜の回。且つ、薫が将来葵と一緒の生活をして、一緒に幸福な過程を築いていく決意を明確に述べると共に、幸福な共同体である現桜庭館メンバーからの卒業が暗示される回。且つ、薫と葵が一線を越えてしまう(つまりヤッちゃう)回。という、まぁ盛りだくさんな内容であった。

薫の言う「将来の決意」とやらは相変わらずふわっとしたままで具体性も主体性もなく、また改めて言うけれどよくこんな締まりのなさで超難関である司法試験を通ったものだ。

薫に比べれば、葵ちゃんの方が遥かにしっかりしている。「桜庭館という擬似家族でのユートピア性」を高らかに謳いあげた第1話から始まった本シリーズであるが、第9話まできて、葵に以下のセリフを述べさせることで、このユートピア性が不変のまま半永久的に継続されることはないということが、明確に示されることとなった。

「変わらないものって、ないんですよね。今のこの瞬間は、ここにしかない。明日はまた違う時間が動いている−桜庭館も、そうなんですよね。みんなで一つ屋根の下、いつも一緒にいて、毎日が楽しくて、でもそれもいつか終わってしまう−寂しいけど、それはそれで受け止めていかなきゃなって思うんです」

つまり今話では、薫の葵と2人で幸福な過程を築いていくという決意と、葵の桜庭館から卒業するという覚悟が明確に示されることとなり、この2点において重要な意味を持つ回となった。
たとえば、今シリーズで薫/葵との関係性や、また2人と桜庭館との関係性などが綺麗に整理されるということがなかったとしても、この第9話で本シリーズの明快な方向性は指し示されたことになるであろう。(もうちょっと言うと、原作の最終話までカヴァーされなかったとしても、視聴者がある程度正しい最終話の想定ができるまでのところは描いている、ということである)

最後の場面で、桜庭館のメンバー(+繭)が集まってきて、またいつものユートピアな日常に戻っていく、という形で締めたのも巧かった。全体のシリーズ構成の貢献としても、一話単体としても、今話は出色の出来の回と呼べるのではなかろうか。

それにしても、薫と葵が泊まった部屋は、ホテルの部屋としては相当に広いし、豪華食事もついているし、素晴らしい夜景が一望できるしで、正規に宿泊したら相当にお高いのではないかと推察される。(マジで、このクラスだったら、少なく見積もっても数十万は下らないのではなかろうか。何故、こんなに高級なホテルのチケットを持っているのか、教授への謎が深まってしまったよ。

あー、ちなみに今話の6年前の感想は以下のリンクを参照のこと。見事にゴミのようにどーでもいいことしか語ってないな。

http://d.hatena.ne.jp/oippu/20040905#p6