藍より青し 第22話 帰省〜きせい〜

薫が葵を連れて、薫の母親の墓参りに行く回。そして、雅さんが葵を連れて葵の実家に戻ることと並行して、葵と薫が引き離されそうになるフラグが立てられる回。

序盤、薫が行き先は内緒で葵を連れていく途上では、穏やかでゆったりとしたムードで進んでいるが、最終目的地である薫母親の墓前の前で、薫が「紹介するよ、葵ちゃん。本城久美―俺の母さんだよ」というセリフを出した瞬間から、空気がさっと変わり、シリアスなムードに一変する。

薫のセリフで、緩和から緊張へ一気に転換する空気の作り方が実に巧い。
またその後は、薫母親の墓前での、葵+薫のダイアローグが中心となってくるが、この場面での役者陣の演技と、役者の演技を含めた音の演出が素晴らしかった。
薫@保志総一朗は、非常に繊細な感情を掬いとるような演技ができると同時に、ゆっくり落ち着いた声で話すので、安心感と説得力がある。「デリケートだけれど、安定している」という、全く異なる2つの要素を高いレベルで満たすことができる役者は、さほど多くはいない。保志総一朗はそれが可能な、希少な才能を持った人物である。
また、葵ちゃん@川澄綾子も素晴らしい。特に、薫が水を取りに行っている間、薫母親の墓に向かって「はじめまして。桜庭葵と申します」というセリフを言うところがいい。気持ちを落ちつけて、ようやっとそのセリフをなんとか紡ぎ出せた、という葵ちゃんの気持ちが伝わってくるような話し方であった。

序盤が特に素晴らしいものの、今話では全般的に絵コンテ/演出が素晴らしかった。絵コンテは島津奔、演出は後に「流されて藍蘭島」監督の岡本英樹。

ラストに向けて、いよいよ話が大きく動き始めてきた。最終残り2話で決着はつけられるのだろうか?(まぁ第2シリーズがあることは分かっているが、第1シリーズの決着はどうつけるのか?)一回観たことがあるはずなのに、すっかり内容を忘れてしまっているので、かなり新鮮な気持ちで次の展開が楽しみになっている。

藍より青し 第八巻 [DVD]

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