愛の戦士レインボーマン 第27話「甦った死ね死ね団」

モグラート編導入部。

思いっきり学生服姿のレスリング部キャプテンがタケシに声をかけてきたシーンを観て、実はまだタケシは高校生であったと今さら知り驚いてしまう。第1話から、確か1年程はインドで修行していた筈だったけれど、日本に帰ってきてからさほど年数が経っていた訳ではないのだな。普段からブラブラしているようなので何故定職に就かないのだろうと思っていたけれど、そういうことだったのか。というか、学校に行けよ、タケシ。

しかし、タケシ役の杉谷邦久が当時24歳で、レスリング部の人が当時何歳か正確なデータはないが、おそらく杉谷と同じくらいの年齢だろう。杉谷も、レスリング部キャプテンの人も、顔がバタ臭く、むしろ年齢よりも上の方に見られる顔をしているものだから、この2人が高校生役を演じているのにはちょっと違和感を感じるなぁ。(しかも、レスリング部キャプテンは古めの学生服を着てて、まるでコントのように見える)ま、役者本人の年齢と乖離があり過ぎるキャスティングは、現在でもNHK大河ドラマとかでちょいちょい見られることだけどね。

物語冒頭で矢継ぎ早に一連の事件を「新聞記事」という形で紹介し、それらの一見関連性のない事件が実は死ね死ね団が裏で進めている邪悪な一つのプロジェクトに繋がっていくという展開が見事だなぁ。(「外国人の不法入国」⇒「偽警官によって暴力団組員の護送車が襲撃、組員が逃亡」⇒「神戸・横浜の倉庫の爆破事故」⇒「暴力団組員がある荷物を(おそらくは倉庫から奪い去った物)どこかの地下基地に運び込む。その後、不法入国した外国人によって組員たちが射殺される」といった流れを、わずか数分の間で一気に見せていた)26話で「死ね死ね団」は本部も爆破され壊滅状態にあったが、ミスターKと数名の幹部たちは辛うじて生き延びていた - という前提を踏まえれば、彼らが最初に手がけることはまずは「労働力集め」のはずである。「死ね死ね団」はきちんと「外国人」と「ヤクザ」の2方向で労働力を集め、そして「死ね死ね団」ポリシーに基づき、用が済んだ「ヤクザ」たちを「外国人」を使って殺させたということだろう。やはり、「死ね死ね団」は(現在までの特撮ものを含め)敵側として最も頭が回り、そして最も自分達の倫理観の筋を通した組織であると改めて感心した。

今度の死ね死ね団の作戦は、「海外の人間を日本人が殺した」という事実とは異なるプロパガンダを流し、日本と海外との対外関係を悪化させることであるようだ。(実際は、死ね死ね団によるマッチポンプであるようだ。怒りを露にした「オイルランド」の駐日大使も、ミスターKが化けていたものだったし)こういった虚偽のプロパガンダにて世論を操ったり、混乱に陥れることは、近年の中東戦争でのアメリカの対応を例に挙げるまでもなく、これまでの歴史で頻繁に繰り返されてきたことである。いかに「レインボーマン」が「現実とリンクする」ことを意識していた作品であったかということが分かるだろう。逆に言えば、「国際政治」を物語りに持ち込むような「子供向け特撮もの」は、「レインボーマン」くらいしかないと言えるだろう。

しかし、この作品中で言われている石油を輸出する「オイルランド」という国って、もろ中東諸国のことじゃねーか。現在だと、ヤバ過ぎてこういった設定はできないだろうな。

あー、あとあと、この物語では「鴨川シーワールド」が出てきていたなぁ。イルカやアシカの調教芸って、昔からあったんだなぁ。

http://www.kamogawa-seaworld.jp

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