愛の若草物語 [完結版]

BSフジで放映された「愛の若草物語TVシリーズの90分の総集編。

総集編では、マーチ家がゲティスバーグにいた頃や、まだ家探しをしている頃の序盤(話数にして第1話〜第14話くらいまで)をバッサリとカットして、ローリーとマーチ家が知り合いになる舞踏会からスタートさせている。

ただ単に全体の物語を圧縮・編集するというスタンスで作っているだけではなく、初見の観客のことも考慮して、きちんとカットが繋がるように工夫して作られているところに好感が持てる。(当たり前っちゃあ当たり前だけれど、その当たり前が抜かされているケースだってままあるので)

ローリーとの邂逅以外で、[完結版]で抽出されたのは以下のエピソードとなる。
リンカーン大統領の演説
② ベスがローレンス翁からピアノを貰った下り
③ エイミーとジョーが大喧嘩⇒仲直りをする下り
④ 戦場に出たお父様が病に倒れ、お母様が看病に向かう下り
⑤ ジョーがお父様のために自分の髪の毛を切って、25ドルを貰う下り
⑥ ベスが猩紅熱にかかり生死の渕を彷徨う⇒回復に向かう下り

うーん、こうやって繋げると、ベスの話に偏重しているなぁ。
[完結版]のラストシーンではフレデリック[お父様]がマーチ家に帰ってきて、ベスと抱き合うところで終わってしまっていたので、少々唖然としてしまった。まるでベス中心の話みたいだったなぁ。シリーズ全体として観ると、ジョーが常に物語の中心に入っているのだけれどね。メグは、唯一の出番であるブルック先生との恋話も、バッサリカットされてしまい、[完結版]ではほとんど存在意義がなかったなぁ。

③のエピソードで、お母様がジョーに「昔は自分もジョーそっくりだった」との告白をする部分がごっそり抜かれていたのが残念だったり、ラストのぶった切り方が唐突で違和感を感じたりとか、いくらでも文句を言うべきところはあるが、まぁ総集編なので多くを期待してはいけないだろう。
一般的に有名な(観たいと思われている)エピソード②〜⑥は全て拾えているし、総集編としては充分な出来であったと言えるのではなかろうか。(①の部分は、[完結版]においてのみだが、父親が戦争に行っている「正当な理由」を描くエピソードとして機能しており、この部分の削除はできないだろうし)