ああっ女神さまっ[OVA版] 第5話「FOR THE LOVE OF GODDESS」

ああっ女神さまっOVA版ラスト。

前半Aパート(ベルダンディの強制送還されるまでの話)が、やや間延びし過ぎていて、観ていてちょっとしんどかったな。ベルダンディが蛍一と離れていこうとする感情を、尺をたっぷり取って描きたかったというのは分かるのだけれど、少々くど過ぎる気がしたなぁ。また、蛍一がわざわざこのタイミングで、バイトを詰め込んで、ベルダンディに指輪を購入しようとする動機もあまりよく分からないなぁ。(ベルダンディがせめて少しでも自分がいたことを形に残したくて、クリスマスイブまでにセーターを完成させた理由は分かるけれどね)それに、たかだか3日間やそこらで6万円も稼ぐという設定にも無理があった。(そもそも日払いのバイトは、ティッシュ配りかガテン系バイトくらいしかないだろう)

と思っていたら、Bパートに入って、蛍一がベルダンディに指輪をプレゼントすることに拘っていた理由が解き明かされる展開になっていて、ビックリした。

ベルダンディが強制送還される⇒そこへ、ウルド+スクルドがそれを阻止するための結界をぶつける⇒爆発⇒蛍一が植物人間化⇒ベルダンディがサイコダイブして蛍一の心を救い出す⇒その過程で、蛍一とベルダンディがまだ幼い頃に出会っていたこと、また蛍一がベルダンディに指輪を送る約束をしていたことが明かされる。
と、中盤以降の展開をフローにまとめると、上記のようになる。Aパートではモタモタ強制送還されるまでを描いていながら、中盤になって一気に話が無軌道に転がっていってしまっていて、全体の話の運び方としては決して褒められたものではない。
だが、指輪という小道具を軸に、蛍一とベルダンディの出会い、別れ、そして絆の深さが過去と現在において再現されていくという力技の展開が実に鮮やかに決まっていて、小気味良いほどであった。(それまでの話運びの拙さが相殺されるまではいかないが)

桜の木が何故ベルダンディ強制送還の触媒となったかの理由も結局明かされないままだし、桜の木に宿っていたパワーが消滅した理由も判然としないままだったり(ウルドが作った結界で相殺されたということか?)したが、これはこれで悪くはない結末のつけ方とは言えるかな?

後、細かなディテールを言うと、スクルドがいじっていたパソコンがPC-98シリーズであったのは、制作当時(94年)の時代を感じさせたなぁ。

[総評]

OVA版/TV版を比較すると、物語展開や、ドラマの見せ方という観点では、断然TV版に軍配が上がる出来であったな。それは、監督合田浩章が十数年「女神さまっ」に関わってきた年季の深さというのが大きく影響しているのだろう。

一方、画という観点から見ると、発表当時の大型タイトルのOVAという形態もあり、OVA版の方が出来が良いように思う。

大掛かりなアクションのみならず、日常芝居の細やかな描写なども丁寧に描出されており、むしろ今日的な印象を受けた。作品の作り方のスタンスはずっと変わっていなかったのが、時代が段々と「女神さまっ」的な作り方に移っていった、ということなのだろうけれどね。

ああっ女神さまっ DVD-3

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