藍より青し 第1話 縁〜えにし〜

かなり久し振りに見返したのだが、改めて「変な作品だな」と認識した。いや、すごく好きな作品ではあるのだけれど。

まず、ヒロインである桜庭葵のキャラがイタ過ぎる。18年間も会っていないにも関わらず、頭の中の妄想だけで薫を「理想の花婿」としてずうっと想い焦がれていたり、これまでほとんど外を出歩いたことがなかったのに、薫を追い駆けて家族に黙って東京くんだりまで出てきてしまったりするところを見ると、どう考えても葵ちゃん=地雷女という公式以外は導き出されることはない。

にもかかわらず、川澄綾子ヴォイスで丁寧口調で話されたり、スンスン泣かれたりするのを見ると、地雷女と知りつつも、ついついクラクラッときてしまう自分を発見するのだ。また、岩倉和憲のデザインには表面上は清潔感のある絵柄にまとめているが、柔らかなボディラインがくっきりと伝わるデザインで、非常にエロティックな線で描かれている。そのキャラクターが、ちょいちょいエロいシーンを(今回では風呂場で着替えるシーン)を見せてくれるので、何かもう、頭がフワフワして、ヘンな感じになってしまうのだ。

この作品を観るときの感覚について、ちょっと前なら「他にたとえようがない」と考えたが、今ならばぴたっとフィットするたとえができる。「藍青」のこの嬉し恥ずかしい背徳感と快感は、まさに「ラブプラス」をプレイする時に感じるものと同種ではなかろうか。

その意味で、「藍青」を観る時の快感は、人間としての尊厳を揺るがしかねない、キケンなものだよなぁ。

オープニングアニメーション/エンディングアニメーション共に、監督である下田正美による絵コンテ。どちらも、丁寧にまとめていて、見応えがある。少ない作画枚数でながらも見栄えする絵作りがなされているような印象があった。曲後半でパパパッ、と画面が一気に切り替わっていくところが面白く、目を引いた。エンディングは、「藍青」らしく、背景画面に着物の柄模様を効果的に使っていて、スタイリッシュだったな。
オープニングには細田直人新田靖成、すしおの名前がある。薫様と葵ちゃんの作画よりも、その他のキャラクターがちかを皮切りに順繰りに1つの画面の中に入り込むように紹介されるところの絵作りが良かったな。
エンディングは長谷川真也の一人原画。この人はやっぱり、ちょっと憂いのある表情や、服装の皺のつけ方など、綺麗でありながら、そこはかとないエロさをかもし出してくれるような絵を描いてくれるよなぁ。