ああっ女神さまっ[OVA版] 第2話「MIDSUMMER NIGHT'S DREAM」

ウルド登場回。

総作画監督本田雄美術監督=加藤浩、原画に鶴巻和哉まで入って、非常にGAINAXっぽいというか、エヴァスタッフっぽい陣容だ。(監督の合田浩章/キャラデザの松原秀典は言うに及ばず)

オープニング「My Heart 言い出せない、Your Heart 確かめたい」の楽曲に合わせる形でキャラに芝居をつけたり、カットを割っていくところは実に絶妙。こういったオープニング演出/カットの割り方は、非常にGAINAXらしい。(本作の制作スタジオはAICなのだけれど)

本編自体も、派手な動きこそないものの、各キャラクターに対する芝居の作画のつけ方が見事で、全体として非常に見応えのあるものだった。ますなりこうじナチュラルなカメラワークは、そのナチュラルさゆえに作画陣の腕がないと見るに耐えないものになっただろうが、見事にコンテの魅力を損なわない出来になっていた。(一例として、ベルダンディがうつ伏せにシートにねっころがるところを超ローアングルで下からやや煽り気味に撮るというカットがあった。このカットを入れると「キャラが実存するという感覚」を観客に焼き付けるために大きな効果がある(その結果として観客はキャラクターと距離感がぐっと縮まり、「萌え」るようになる)が、地味な絵ながらも、画力が確かな人でないときちんと描けない構図でもある)

蛍一が魔法(クスリ)の力で沙夜子に心を寄せてしまい、それを目の当たりにしたベルダンディがショックで落ち込んでしまう、という展開はTVシリーズの1stシリーズ第12話「ああっ女神と女王を天秤にかけてっ?」でも同様の話があった。(TVシリーズではウルドの失敗ではなく、マーラーの策略だったが)また、海岸沿いの岩の上で、月光の下、蛍一とベルダンディがロマンチックな時を過ごすという場面は、同じくTVシリーズの1stシリーズ第18話「ああっ運命の告白は月の下でっ?」にも同様の場面があった。この話はアニメオリジナルのようだけれど、その後作られるTVシリーズも、このOVAをかなりの部分で下敷きにしていたと思われる。

ところで、今回の話から、ウルド同様に三嶋沙夜子も参戦。やっぱり、沙夜子は能登麻美子が声をあてた方が断然良いな。一聴では、当然OVA版の麻美順子の方が嵌って聞こえるのだけれど、この声だと沙夜子が単なる悪役というか、かませ犬程度の役割しか与えられないだろう。TVシリーズで見せた「人前では強がって見せているけれど、実は心の弱い内面を持っているところ」や、「単に性格が悪いだけでなく、意外にお人良しだったり、可愛らしい部分も持っている」といった二面性の部分は、ノトマミだからこそ表現できたのだろう。で、ノトマミだからこそ、その二面性が「萌え」として機能できたのであろう。

OVAシリーズ2話を見ていると、当時は森里恵に明らかに「萌え」の役割を負わせていたことが分かる。(森里恵は明らかに可愛らしく描かれていたし、必要以上にしゃべらせていた)
ところが、沙夜子登場回はまだ1話だけしか見ていないが、あまり沙夜子に対して「萌え」が期待されていない、そのような役割からは外れているように見える。単に「悪役」「引っ掻き回し役」程度の役割しか与えられていないようだ。

一方、TV版では森里恵は明らかに「萌え」の役割は外され、むしろ(蛍一に対しても、スクルドに対しても)世話を焼く、面倒を見る母親的な役割を負ってしまっているように見える。その一方で、沙夜子に対しては原作以上にスポットがあたり、「萌え」としての大きな役割を与えられているように見える。

OVA版/TV版での変わっていない基本ラインを探すのも面白いし、微妙に変わってきている部分を見つけるのも、また面白い。「女神さまっ」は色々な楽しみ方ができる、懐の深い作品だよなぁ。