愛の若草物語 第29話「死なないで!エイミーが川に落ちた!」

山田栄子/佐久間レイの名演もあって、冒頭の姉妹喧嘩が凄まじい迫力で迫ってくる。山田栄子が上手いのは勿論だが、佐久間レイも小憎らしい感じを実に見事に演じている。
「あんなつまらないお話なんか、もう絶対に帰ってこない。燃やしちゃったのよ〜! そうよ、燃やしちゃったのよ。だから返せないって言ったでしょ」
のセリフは、実に憎らしく、いい感じであった。

迫力ある喧嘩シーンの中で、喧嘩に巻き込まれたベスがテーブルクロスを上からすぽっとかぶせられ、お化けのようになってしまっているところは、思わず笑ってしまった。(喧嘩シーンを和らげる意図もあったかもしれないけれど)

はらわたが煮えくりかえって、ジョーが1週間も口を利かず、その後のスケートの場面になり、エイミーが薄氷を踏んでしまって、冬の湖で溺れてしまう下りまでは、ほぼ完全に原作準拠となっている。

はっきり言ってしまって、ジョーもエイミーも大人気ない。でも、2人ともまだ子供で、大人気ないのは当たり前なのだ。こうした「大人気ない」振る舞いを真っ向から描き、その後の決着として、「大人げなかった」ことを登場人物たちに反省させる、といった構造を持つ物語は、実は少ないような気がしている。「若草物語」はそれをしている数少ない例の一つだ。所謂、教訓譚なのだが、「オトナが上からの物言いで諭している」という形式になっておらず、ちゃんと子供の目線で物語や情感を追っているところも、素晴らしい。(「若草物語」は"Little Women"というタイトルのコンセプトに適っている)