I'll CKBC #2 少年達が空を見上げた日 Primitive Rude Flowers

内容を国府津高校vs国体補欠選手選抜メンバーの試合に絞り込んだのが功を奏したのか、1作目の不調とは打って変わって、コンパクトにまとまって気持ちよく楽しめる娯楽作となっていた。

「上」へと向かうために国府津高校を離れようとする柊と、あくまで「ここ=国府津高校」で「ガキの喧嘩」としてのバスケットボールに真剣に取り組む立花の2人のスタンスの差異が明確に出てきて、分かりやすかった。この差異が明確に出てきてくれたお陰で、柊と立花の2人のドラマがぐっと分かりやすくなった。かつて父親や兄貴に「上へ向かうバスケ」を強要され苦しめられてきた柊が、今度は自分から「上へ向かうバスケ」に入り込んでしまい、国府津高校を離れてしまう選択を取ろうとする展開も、皮肉が利いていて良かった。また、かつて柊にバスケの楽しさを思い出させた立花が、改めて柊に真剣勝負を挑むことで「ここ(国府津)でバスケをする楽しさ」を思い出させるという展開もグッとくるものがあった。

今回は、バスケットボールシーンもきちんと迫力のある描写がなされていて、その点でも良かったな。決して広くないコートで、複数人が入り乱れてボールを奪い合うという描写は、スポーツの描写としては相当にハードルが高いはずであるが、ドリブル、フェイントでのパス、ブロック、そしてシュート等、それぞれの基本アクションに違和感がなく観ることができ、面白かった。

スタイリッシュな雰囲気で強引に押し切っていった感があり、立花や学の関係性など、物語的には未消化の部分も多い。まぁしかし、僅か2回分のOVA作品というパッケージと、原作のスタイルを考えると、#2に関してはこの演出で正解だったように思う。
国府津高校と選抜メンバーの試合が結局勝ったか負けたかを敢えてはっきりさせないままエンドクレジットに入り、クレジット後の最後のエピソードとして、柊も立花らと交じり海辺で花火大会をするところで締めているところも、いい。「試合の勝ち負け」ではなく、「ここ(国府津高校)でバスケに真剣に取り組んでいく」という作品の本質をブラすことなく、明確に伝えるいい締め方だったように思う。

[総評]

#1では「外れかな」と思っていたのだが、#2でかなり盛り返しを見せ、終わりよければ何とやらで全体的な印象はかなり上がった。浅田弘幸というちょっとクセの強い作家性をきちんと理解し、フィルムに焼き付けているところもポイントが高い。また、金子昇神谷浩史両人の演技合戦もすごく良かった。

こんな2話ばかりのOVAではなく、24話くらいの2クール作品として観てみたい!と思うが、流石にOVA制作から時間が経ち過ぎているし、難しいかもしれないなぁ。うーん、残念。

I’LL/CKBC #2「少年達が空を見上げた日 Primitive Rude Flowers」 [DVD]

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