藍より青し 第6話 家道〜かどう〜

妙ちんの桜庭館ハウスキーパー就職チャレンジ回。

妙子の部屋にあった猫のぬいぐるみと、妙子の子供時代の回想で妙子が抱えている猫のぬいぐるみが同じもので、妙子がそのぬいぐるみをずっと大事にしていたことが分かる。妙子の人柄を尊重した上での心憎い演出である。

また、雅さんが桜庭財閥事業の秘書としての役割をも兼任していたことが本話で明かされ、その仕事が手一杯で、実は(薫のせいでできてしまった)桜庭館の管理などにはほとんど一切手が回っていないことが明らかになる。だから、妙子が桜庭館に押しかけてきた時に、その話を立ち聞きしていた雅が、妙子にハウスキーパーを任せる気になったという流れになっている。世界観のリアリティのある作りこみと、物語の自然な流れを作ることを並行して成立させる、巧い脚本・演出だ。

また、桜庭館の(経営面以外の)管理は葵が行っていて、家の事は(風呂の洗剤がどこにあるかまで)葵が把握している事が充分に伝わる構成になっていた。だからこそ、葵が裏で妙ちんをサポートしている事も、自然な流れとして視聴者には受け止めることができるようになっている。

脚本は(デビューはずっと前ながらも)この頃から頭角を現し始めるようになる金巻兼一、演出は渡邊哲哉となる。渡邊哲哉は、私が不勉強のためこれまであまり意識して見た事はなかったが、作品世界を膨らまして見せることが巧く、腕のある人のようだ。これからは注目して作品を観ていくようにしたい。

また、妙ちんの母親役という、セリフも数言しかない微妙な脇役に、島本須美が登場してきたのはかなりのサプライズだったな。