愛の若草物語 第27話「学校でお仕置されたエイミー!」

原作のエピソードから拾ってきた題材ではあるのだけれど、後半の処理が原作と大きく異なる。
原作では、マーチ家は体罰をされたことに憤り、エイミーを退学させてしまうのだ。

これが、アニメ版では、エイミーが体罰されたことにいたたまれなくなり学校を飛び出したところをローリーが見つけ、ローリーに窘められて学校に戻るという展開になる。そして、ローリーはエイミーが体罰を受けたことをマーチ家の人間には秘密にするとエイミーに約束するという流れとなっている。

原作での「学校を辞めてしまう!」といった流れはかなりアナーキーで、比較論で言えば圧倒的に原作の方が好きである。が、アニメ版の展開も、一つの回答としてはアリだと思う。

実は、アニメ版は「体罰」を否定していない。それは、オープニングでフレデリックがエイミーのお尻を叩いている場面を描いていることからも明らかだ。
今話でも、ローリーはエイミーに「だけど、君が悪いんだぜ。規則を破ったんだから、なんらかの罰を受けるのは当然さ。体罰には、問題があるけどね」のように、「問題がある」という程度にとどめ、はっきり否定するところまでには至っていない。

それよりも、エイミーが「家族の人には言わないでね」という懇願に対して、「言わないよ、約束する」と返したローリーの配慮、また、戻ってきたエイミーに対して、黙って出て行ったことに怒ったりせず、今進めている教科書の頁を教える先生の配慮が素敵であった。

原作のように、「何でもかんでも白黒はっきりつけるぞ!」というスタンスではなく、様々な考え方があることを認めた上で、各キャラクターがそれぞれの立場で行動し、意見を述べていく、というスタンスは、非常に現代的で、だからこそ今日的リアリティを持った作品として、本作品が成立できている。ネットを見ていると、色々と批判を受けている回のようであるが、私としては本シリーズ中でもレベルの高い一遍だと考えている。